検察庁法改正案についての私見

検察庁法改正案に反対する声が多く上がっている。

 

私自身も反対であるが、少し反対派の主流理由とは異なる。

 

改正案の新旧対照表は↓こちら。

https://www.cas.go.jp/jp/houan/200313/siryou4.pdf

 

簡単に言うと、

現行法:検事総長は65歳で定年退官。それ以外の検察官は63歳で定年退官。

改正案:検察官は「全員」65歳で定年退官。ただ、次長検事検事長、検事正は63歳になったら原則としてヒラ検察官になる。ところが、内閣または法務大臣が、公務の運営に著しい支障が生ずる一定の事由にあると認めるときは、64歳まで検事正ポストを続けさせられる。さらに事由が続けば65歳の定年までいける。

 

ということである(正確性が若干怪しいが、正誤については上記の改正案を確認してほしい)。

 

反対派の主要な言い分は、たぶんこういうこと。

黒川さんが内閣忖度野郎で、内閣が検事総長に仕立て上げたいから解釈変更した。この出来事に代表されるように、内閣が検察人事を掌握して自分たちに捜査の手が伸びたりしないように、こんな法改正をしようとしているんだ、ということである。

 

ただ、私はこれは有効な反対論ではないと思うし、私はそうは思わない。

たしかに、検察官は行政からある程度独立した地位にあるべきである。行政にメスをいれなければならないからである。

しかし、検察官は紛れもなく行政作用である。その人事を、行政権が属する内閣が決めることは、まったくもって正しい。

また、検察の人事決定を、検察組織内部で完結させることができるというほうが、まったくもって不健全である。内閣は、国民の力で政権を交代させることができる。これによって「内閣の人事」は国民がコントロールすることができる。しかし、検察庁が内閣のコントロールさえ及ばなくなれば、検察組織は完璧に独善化する。むしろ、今まさにそうなっているのではないだろうか。

検察官は人を逮捕することができる。検察官は人を刑事裁判にかけることができる。行政作用の中で、最も強力な権限を持っている官庁である。“最も民主的コントロールを及ぼさなければならない官庁”といっても過言ではない。

したがって、「政権が検察人事を掌握するなんて何事だ」という反対論は、ありえない。たしかに、現政権の体たらくからすれば、そういう反対論が起きることもやむからぬ面はある。しかし、その反対論を突き詰めていく方が、よほど怖いと思う。

 

そもそも、この法改正内容と、人事権の所在はほとんど関係ない(役職定年延長の点は関係あるといえるかもしれないが。)。なぜなら、現在も人事権は内閣にあるからである。

 

1点補足しておくと、解釈変更で黒川氏の定年延長をしたことは反対である。いや、反対とかではなく、紛れもない違法であり賛成のしようがない。内閣も黒川氏も恥を知るべきだ。

 

さて、検察庁法改正法案について、結論は反対であるが、この法案に私が反対な理由を簡単に述べておく。

①検察組織が生まれ変わるには、若返りか法曹一元しかないと確信している。それに逆行するこの法案は百害あって一理なし。

②公務に著しい支障が云々というが、実際何か支障が生じたのか。63歳だとまずいけど65歳ならしかたなくなる理由は何か。